Stray Children( ストレイチルドレン )について思った事

※批判的な内容の感想が続くので、そういうものに触れたくない方には読む事をお勧め致しません。

(また、後日、記事内の文章を修正、加筆する可能性があります)

 

 まず最初に断っておきたいのは、実際にStray Children(以下ストレイチルドレン)を自分がプレイした感想ではなく、
他人様のプレイ動画をyoutubeで視聴した立場での感想になりますので悪しからず。

一応ゲームの最初から最後までのプレイ動画を視聴させてもらったあとで、思った事を纏めてみようと思いました。

(筆者は、ラブデリック系列のスタッフのゲームを有名所はある程度プレイしたり、
未プレイの物はプレイ動画で見て情報を補完したり、といった具合の立ち位置です)

 

【新作開発発表から発売まで】

 オニオンゲームスで新たにRPGを作るというような、新作タイトルの開発が発表された時、結構自分は驚きましたし、大きな期待を持ったような記憶があります。

moonのようなRPG作品がまたプレイできるのか~というような期待感がありました。
(そこまで関心のなかったBLACK BIRD等の過去タイトルに、「お布施」した甲斐があったかなとも少しは思いました)。

が、それからしばらくして開発途中のPVか何かを見た時に、うーん?という違和感を覚えました。

一般的なRPGにおける「戦闘」のようなものがありそうだという事と、
病んだようなオトナと対峙して、救済していく?というような設定も、どこか陰気で押し付けがましく、惹かれないなと。

これはmoonや、その他、ラブデリック系列のスタッフが作っていったような
箱庭探索お散歩ゲームじゃないのかな、というのがPVを見て感じた印象でした。

自分がNintendo Switchを所持していないので、
プレイする敷居が高そうという事もありましたが、
我が事のように関心を持って追っていくものでもなさそうに思え、
漠然と発売を頭の片隅に置いて、過ごす感じでおりました。

その後、2024年の年末辺り、いよいよ発売にこぎつけたという話を聞いて、
ふむ、どんなものになったのかと検索してみると、
youtuberによる実況プレイ動画がチラホラと上がり出しておりましたので
それでは、と見やすそうな投稿者の動画を選び、一通り見せてもらう事にしました。

 

【ゲーム本編を見ての感想、moonの話】

 ゲーム序盤でまず驚いたのは、moonのセルフパロディでした。
ここまで露骨に、視覚的にも、ガッツリ焼き直すのか…という、どう捉えていいのか分からない感情になりました。

moonをなぞってるという事に対して、懐かしさや懐古的な喜びの声をあげたプレイヤーも少なくなかったのかもしれませんが
自分としては、ガッカリした気持ちが強かったです。

本作を最後まで見た後でも、moonをなぞる意味が自分には大して感じ取れず、
それがどういう意図で為された事であれ、ある意味で制作者のmoonに対しての姿勢が空回っているようにも思えました。
ゲーム的、もしくはmoon的に言えば呪われているというようにも。

奇しくもというか、私の見たストレイチルドレンに纏わる宣伝文や感想、実況プレイ動画、
そういったものの到る所に、「あのmoonのスタッフが作った」という謳い文句が付いていました。

皆がmoonという作品ありきで、今回の作品を見、買い、そしてプレイし、いろんな感情を抱いたんだなぁと。
プレイヤーにとって、それだけmoonという存在は大きく、
また同時に制作者側にとってもとてつもなく大きい存在だったのだろうなと、
ゲーム内の扱いから、勝手ながら推察してしまいました。

 ここからはゲームの中身について思った事を
分野ごとに区切って話してみようと思います。

 

【戦闘システム・弾幕避け】

 ストレイチルドレンという作品の、個性として目立っている要素として
特殊な戦闘システムが挙げられると思います。

敵の攻撃が始まると空間が一変し、シューティングの弾避けのように、(基本的には)敵の弾を避けるくだりが展開されます。

UNDER TALEのような、記号的なシンボルを使った弾幕避けを、ある意味で拡張したような手法で、
攻撃演出も敵キャラ毎に作られており、作り込みの拘りを感じさせるものではありましたが

弾幕を避ける行為を楽しいと感じるか否かもそうですが、
避ける技術にも人によって大きく差があるでしょうから
苦手な人にとっては非常に難易度の高い操作に思えました。

実際自分も弾避けは得意な方ではなく、シューティング等にもあまり関心がないので、
とても最後までやり通せそうに思えませんでした。

UNDER TALEは、弾避けを、簡略化した枠組みの中で展開した事が新しくもあり、
難易度という間口の部分でも功を奏していたのかなと、改めてそちらの秀逸さに考えが及んだりもしました。

 

【敵の「救済」システム】

 また、
敵を「倒す」以外に設けられている、「救済」する仕組みと、弾幕避けとの相性があまり良くないようにも思えました。

救済するため、選択肢の中から正解のセリフを複数回選ぶ必要がありますが、その正解に到るヒントが乏しく、
半ば総当たり的に
言葉を試していくような場面が多く見受けられました。

言葉を試しては弾避け、という行為を繰り返している様を見ていて、それがあまり楽しそうに思えず
半ば苦行のように思え、これを自分でプレイするのは嫌だなという気持ちが強まりました。

勿論、敵キャラを救済するのは義務ではなく、ただただ攻撃をして倒していく事が可能な仕様にはなっておりますが
なんとなく、救済する事が「正解の行為」のように思えてなんとか取り組もうとするユーザーも多いのではないかなと。

敵を倒すと、〇〇は死んだ というように、露悪的なメッセージが流れますし、
倒す事をどこか咎めるようなニュアンスも含まれています。

moonという、戦闘によって殺されたモンスターの魂を救って回る、という作品と影響の強い本作でもありますし、
同じような立ち位置のUNDER TALEでも、モンスターを倒す、倒さないという事がストーリーに分岐するような仕様になっている事も有名なので。

そうした背景があるなかで、ユーザーが自ずと不殺、ここでは救済を目指すのも無理からぬ事というか、むしろ自然な流れなように思えましたので。

 

【目押しルーレット】

 そしてその、敵を倒すためにプレイヤー側が仕掛ける「攻撃」の際、
ルーレットの演出が入り、目押しによって成功のマスで止められれば
複数攻撃やクリティカルという恩恵が付与されるというシステムになっていました。

こうした目押し操作にも得意不得意はあるでしょうが、目押し失敗によって攻撃力が出せなくても
ターンを稼げば解決できる事ではあるので、そこはそこまで問題には思わなかったですが(その分弾避けの回数も増えるのでそちらも苦手な人には辛そうだが)

自分としてはその目押しルーレットが、戦闘以外のイベント時においても毎度のように登場し、
もはやゲームを通して付き纏う、当たり前の行為のようになっていたのが気にかかりました。

プレイせず視聴している側としては、単調なQTEの繰り返しに見え、酷くつまらなそうに映りました。
(実際にやってみるとまた印象は違うのかもしれませんが、あまりそうは思えませんでした)。

そうしたイベントで発生する目押しルーレットも、イベントによってはルーレットの速度が非常に早くなったり、
止めるマス、的が小さくなったりという事があり 
目押しが苦手な人には辛いだろうなという印象を抱かせました。

こうした、弾幕避けや、目押し、といった
個人の資質によって難易度が大きく変動する要素によって、ストーリー進行が滞ったり
やり直しを強制されて結果的にやる気を喪失してしまうような事があっては、あまり良い事ではないのかなと
思わせられました。

そしてそういう、プレーヤーによっては非常に高難易度になりかねない状態に
さらに拍車をかけているように思われたのが、

引き返せない一本道のシナリオと、予期せぬオートセーブ、1つしかないセーブスロット

という仕様でした。 

 

【オートセーブとセーブスロット】

 とかく、プレイヤーの意思に関係なくセーブが発生するというオートセーブの仕様は
往々にして詰みのような状態を作りかねず、緊張感の高いプレイングを要求されるものだと思います。

そうした詰みの状態に陥らないようにプレイヤー側が出来る工夫として
セーブスロットを小まめに分散して、やり直せる地点を増やしておく事が挙げられると思うのですが
今作は、セーブスロットが一つで固定されています。

この、一本道のイベント進行とオートセーブ、またセーブスロットの限定という仕様が、
良く言えば歯ごたえを生み、悪く言えば非常に不親切で、意地の悪いつくりになっているなと思えました。

マップに点在しているセーブ地点も、製作者側の配置した場所に限られますし
上述したように、弾幕避けや目押しの苦手なプレイヤーには難易度が高まっているなかで
死亡すればやり直しを余儀なくされるため
プレイヤーに負荷をかける要素が目白押しだなという印象を受けました。

なので、人によっては非常にストレスフルなゲームとなりそうでした。
それらの負荷を覆し、幾度のやり直しに取り組める程、ゲーム自体に魅力を感じられていれば良いのですが…。

 

【引き返せない仕様 と 一つだけのセーブスロットの相性】

 本作と過去の「ラブデリック系」アドベンチャー、RPG、で、大きく違う部分として
通過したフィールドに、引き返す事が出来ない一本道の仕様があると思いました。

万人にとっての楽しみ方ではないかもしれませんが、特定のフィールドのグラフィックやBGMが気に入って
雰囲気を味わったり、お散歩のように散策したりという遊び方が
引き返せない一本道だとなかなか難しくなります。
(ラブデリック系のゲームのファンには、こういう遊び方をするユーザーが、他ジャンルのゲームに比べれば比較的多いのではないか、と個人的には思っています)

せめてセーブスロットがいくつかあれば、そのフィールド毎にデータを保存する事で、再訪する事も可能ですが
セーブスロットが1つで固定ですとかなり自由度が下がるなと感じました。
それこそプレイ動画なんかを見て満足するという機会が増えそうだなと。

 さらには、最終盤の展開で、分岐のさせ方によっては、エンディングに到達できなかったり
意図せず二周目が始まってオートセーブ、みたいな事がある?なら
それはさすがに意地悪過ぎるなと思えました。

苦労して救済したキャラクターの集まってるようなエリアがあるなら、普通何度も再訪できるような仕組みになってるものだと思いますし。

アップデートで難易度を調整したようですけど、セーブスロットが1つで固定なのは変わってないようでした。
これは製作の仕様上避けられない事なのでしょうか。
そうであればしょうがないとは思いますが、今の時代にそんな事があるのか、と訝しんでしまいます。
意図的にそうしてるのであれば、やはり意地が悪いとか、押し付けがましいという感想になってしまいますね。

 

【音楽 音声 周りのこと】

 ゲーム内容に対する他ユーザーの感想の中には、頻出するバグや難易度の話を含め、批判的なものも散見されましたが
グラフィックや音楽に関しては肯定的なものが殆どでした。

しかし自分としては、音楽、音声の方でも少しどうかなと思う部分がありました。

moonを初め、「ラブデリック系」の作品の大きな特徴であり個性として、キャラクターの喋る音声が、
架空言語、所謂ハナモゲラ語になっているというものがありました。

今回はダンジョンのBGM等で、森のフィールドで、もり と連呼するようなものだったり、
水のフィールドでは、ピチャピチャ というような擬音を発声するものだったりと、
日本語を下敷にした音声表現が多用されており、表現が直接的過ぎると思いましたし
森 等に関しては、悪ノリのように感じられてうすら寒くも思いました。スベってるなと。

 また、本作は町人のようなNPCのキャラクターが多く登場し、それらにも一応音声が割り振られてる仕様のため
同一人物の音声 の使い回しが非常に多く、フルボイスで良いというよりは、かえって雑な印象を受けました。

これならモブキャラ等には無理して音声を当てず、イベントキャラ等に固有の音声を使う等した方が
キャラクターの個性が高まったのではないかと思いました。

元の仕様でやるにしても、せめてもう少し音声のバリエーション(人のパターン)を増やせなかったのかという残念さがありました
(個人的には、印象的な声というのもあってか、少年キャラ役みたいな、ねっとりした女性の人の声がやたら印象に残り、新たに聞く度に、またこの人かという感じがしました)。

 

【グラフィック キャラクターデザイン のこと】

 音楽同様、グラフィック、絵周りの仕事もプレイヤー的には概ね好評のようでした。

自分も、映像的な部分は良いなと思う事が多かった一方、デザイン等は敵キャラ含めパロディ的なものがあまりにも多く、
そりゃあ今迄の作品もそういう在り物を下敷に展開していた要素はありましたが
そろそろ卒業してくださいよ、という気持ちになりました。

本作の敵キャラは、名前やガワだけでなく攻撃演出等にもパロディ要素が含まれる事で、
よりパロディ成分が強調されていたように思いました。

それこそ影響を与えると同時に影響を受けた、UNDER TALEと比較して
個性という部分では、パロディによって大いに見劣りする結果となったと思います。

個人的には主人公のデザインも、色味も含め地味であまり良いと思いませんでした。
主要キャラクターの、ケンケンのパロディ等には、もうそういうのそろそろ寒くないですか?と言いたいです。

フィールドやキャラクターのグラフィックの仕事がいかに良くても、
出自がパロディであったり、固有性、独自性、個性が無いものでは
結局輝かず、良い仕事なほど勿体無いなと思いました。

 

【総評】

 長々と否定的な事を書き連ねて恐縮ですが
総評としては
やっぱり初めにPVを見た時の印象と同じく、
自分が思っていた、勝手に待ち望んでいた、moonのようなゲームとは違ったなというものでした。

それもわざわざmoonのセルフパロディを加えてくるあたり、意図的にやってるんだろうなという風に思えました。

敵とされたオトナの設定や、テーマ、そういうものもどこか説教臭く、陳腐に思え、
過去の作品で言っていたような事から更新が成されていないなという印象が強かったです。
(適した例えかは分からないですが、 「歯ごたえのない『ディシプリン*帝国の誕生』」 という感じがしました)

 いつまでも、moonのような作品 を待ち望んでしまっている私のような存在も、あまり褒められたものではないかもしれませんが、

そこからさらに発展して、日夜moonやラブデリック系諸作品のファンアートを作ったり、話をしてるようなコミュニティ、
そういうものと近い距離感の中で、存在を支えられてるような製作陣の側も

歪な立ち位置をしてると思えてしまうのは自分だけでしょうか。
どこか宗教のような居心地の悪さを覚えてしまいます。

 

残念ながら本作は、
moonの威光でファンを釣りながら、セルフパロディを交えて嫌がらせ、あまつさえ説教するような状況が
事故のようにして起きてるようにも思えました。

moonの呪いから抜けられない、熱心なファン、クリエイターの方々、そして私のような軽薄なファン
皆が真に救済される日を願いながら、日々を頑張って生きていこうと思いました。

 

ここまでお読み頂けた奇特な方がもし居られましたら、お読み頂きありがとうございました。

( koROBO と はらぺこミーム (あと木村氏が今後作る作品)に期待したいと思います(解けない呪い))

fin.